ゼロから始める新卒社会人の雑記

新元号が発表された2019年4月1日、新社会人となった私はブログを始めました。 1から。いいえゼロから!

有機農業ラブコメ⑯

ゆうきぶ~有機栽培部へようこそ!~

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前回のあらすじ

 

久しぶりにクラスメイトと話した才場は疲れてしまい、部室で休むことになった。

部室で寝こけていた才場は、扉が閉まる音で起きるもそこには誰もいない。アグリ先生たちが先に圃場に向かったと考えた才場は校庭に向かうことにした。

 

 

 

そんなことを思いつつも、グッと伸びをして身体を無理やり起こし、自分に鞭を入れた。

 

「えーっと、確か校庭の圃場だっけ…。17時半にはまだちょっと早いけど行ってみるか。」

 

俺は体育着に着替えると、校庭の方に行ってみることにした。

 

◆◆◆

 

俺が以前、「校庭の端っこにある畑」と表現した、正式名称「校庭圃場」(略称こうほ)は、面積にして6a程で、有機栽培同好会が所有する農地の中では一番大きな畑である。

ちなみにa(アール)という単位は、1a=10×10mだと仮入部してからアグリ先生に教わった。大体縦に20m、横に30mの大きさの農地だと考えればわかりやすい。

 

俺が仮入部した時はまだ、草が伸びきった土地でしかなかったが、ここ何日かかけて草取り、すき込み、畝作りが終わった今では立派な農地に見えるようになった。そしていつの間にか「ゆうきぶ!」の看板がぶっ刺さっていた。だからまだゆうきぶじゃないでしょうに…。

 

その校庭圃場に到着すると、一つの人影が見えた。

…アグリ先生たちがいると思っていたのに一人しかいないのか?…太陽と逆行しているせいで誰か分からないな…。とりあえず何をしたらいいか聞いて見ようと口を開きかけたその時、

 

「あ!そこの部室で寝てた君~!ちょっと手伝ってー!」

 

3人じゃない女の人の声が聞こえた。

 

「え?あなた誰?…ですっ…」

 

「才場くんなんで私のプリン食べちゃったのおお!??」

 

俺が口に出した質問を言い終える前に、何者かが背後から体をグワングワン揺らしてきて、言い終えることが出来なかった。

まあ、林檎だったんだけど。

 

「い、いや、俺は林檎のプリン食べてないぞ…。っていうか自分で食べたんじゃないのか?一回部室に戻ってきていたみたいだし。」

 

「何言ってるの??私たちが部室に戻った時には才場くんいなかったじゃない!!私の空のプリンを置いて!」

 

?????

 

いったい林檎は何を言ってるんだ?それに向こうで畑作業をしている人は…。

林檎がまだ背中でポカポカやっているうちにアグリ先生と蜜柑も校庭圃場にやってきた。

 

「部室に戻った時、才場くんがいなくて帰ったのかと思っちゃったよー。脱走の件の報告書をまとめて提出しようかと思ったけど、才場くん帰ったわけじゃなかったんだね。」

 

怖いよ!そして思い切りが早いよ!!

もう絶対脱走もサボりもできないじゃん…。

 

「帰りませんよ!。それより…、あそこにいる人って誰なんですか?」

 

その瞬間、3人が一斉に頭に疑問符を浮かべた。

 

「誰って…。あれ?言ってなかったっけ?」

 

「…てっきり誰かが紹介しているものだと思ってました。」

 

「!!もしかして、私のプリン食べたのって…。」

 

「みんな集まってどうしたの?君、手伝って言ったのに来てくれないなんてひどいぞー。」

 

そこには、制服と水色のつなぎという致命的な格好のギャップこそあれ、今日の放課後、つい数時間前にぶつかった先輩の姿があった。

 

「もしかして、あなたが…。」

 

「どうやら初対面ってわけじゃないみたいですね。彼女が有機栽培同好会の3人目のメンバーであり、この学校の生徒会長の水野葵依先輩です。」

 

中途半端に脱げた軍手をひらひらさせながら、水野会長が蜜柑の言葉を引き取った。

 

「はーい、私が生徒会長の水野葵依です。皆からは会長って呼ばれてるよー。君が新しく入部した男の子だったのね。名前は…、ラッキースケベくん?押し倒しくん?」

 

「才場です。」

 

「そっか、才場くんだったね。まさか、今日押し倒された男の子が才場くんだったなんてね笑。」

 

「い、いやあれは不可抗力だったじゃないですか!人聞きの悪いこと言わないでくださいよ…。」

 

3人の目線が痛いのでやめてもらっていいですか。

…ああ、これは知っててやってるくちですね。今までありがとうございました。

 

「…その件については後で詳しく聞くとして、アオイちゃんは会長の仕事はもう大丈夫なの?」

 

アグリ先生の言葉に対し、会長様は腕を前にグッと突き出すとこう答えた。

 

「それについては大丈夫ですアグリ先生。今日は仕事が早く終わりましたから。今日は人手がいるって林檎から前もって聞いていたので部室に行ったら、才場くんが寝ているだけだったので先に校庭圃場の方に行って準備していました。」

 

「あら、そうだったの。やり始める時間もちゃんと伝えた方が良かったね。」

 

「普段は生徒会の仕事でほとんど裏方作業ぐらいしか手伝えなかったですからねー。これぐらいはやらせて下さい。」

 

「ありがとうね~。じゃあ私たちも始めよっか!」

 

「はい。」

 

「了解です。」

 

「私のプリンは~??」

 

この後作業中にもしつこくプリンの事を聞いてきた林檎だった。そして何故だか、後日俺がプリンを奢ることとなった。俺食べてないのに…。

 

蜜柑に関しては俺のこと「サイバイキン」とか言ってきて妙に冷たかった。なんで俺の小学校高学年の時のあだ名知ってるんですかね…。偶然ですかそうですか。

俺が病原菌という点においては全く間違ってないので否定もしづらいんだよなあ…。俺のバイ菌は強力でガードでも無効扱いされていたっけ。

 

俺、最強!

 

 

 

 

次回へ続く

 

 

 

前回

 

shinsotsuzakki.hatenablog.com

 

 

 

 次回

 

shinsotsuzakki.hatenablog.com

 

 

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